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【あかりのお話】部屋別・照明の選びかた。

LIGHTING

【あかりのお話】部屋別・照明の選びかた。

私たちの住まいは、いくつもの小さな空間=部屋が集まって出来上がっています。活動的に使う空間もあればゆったりと過ごす空間もあり、部屋ごとの役割はさまざま。照明も部屋によって合うタイプが異なるので、用途に沿った照明選びが大切となります。

2025.01.24 by AXCISONLINE

一日のなかで変化するひかり

私たちは毎日、家の中で一体何をしているのでしょうか。ある家では朝まだ暗いうちから起き出した人がひとり、キッチンでコーヒーを淹れているかもしれません。またある家では昼過ぎに子供達が帰宅して、賑やかにリビングで過ごしているかもしれません。そしてどの家でも夜には食卓で晩御飯を食べて、ベッドで眠りにつく。

一日を通して私たちは家中のあらゆる空間に出入りして、ひかりは朝から夜へとその姿を変化させます。照明選びの際には「この空間は、どの時間に、誰がどんな風に使うのか」を考えると、最適解が見つかります。

住宅で使われる照明器具たち

日本の住宅で使われている照明には、シーリングライト(天井直付け照明)・ダウンライト・ペンダントライト・ブラケットライトなどの種類があります。

 

「シーリングライト」は天井面に設置して、均質な光で室内全体を照らします。一灯で部屋中を照らせて便利な反面、天井から人の生活位置まで距離があるので光がロスしやすく、全てを均一に照らすので空間がのっぺり見えるという短所も持っています。

 

「ダウンライト」も天井面に設置して使う照明です。ただし複数個を設置して使うので光に強弱が生まれて、のっぺりとした印象は薄まります。よく使う場所の上に設置するほか、天井面全体に設置するケースもあります。

 

「ペンダントライト」は天井から吊るして使う照明で、人の位置に近い高さに明かりが来ます。ダイニングで使用すれば食卓の料理を美味しそうに見せる効果があり、家族が集う場所にぴったりの照明です。インテリアのアクセント的役割も持ちます。

 

「ブラケットライト」は壁面や天井面に設置して、その周囲を照らす照明です。直接結線という電気工事が必要な商品が多いので、主に新築やリノベーションの際に採用されます。

ダウンライトだけならスッキリ見える?

最近の住宅のトレンドとして、シンプルなテイストが好まれる傾向にあります。余計な装飾がないダウンライトはそんなインテリアと親和性が高く、家中の照明をダウンライトにする家も珍しくないそうです。

 

ダウンライトは天井に穴を開けて埋め込んで設置するため、工事後の位置変更は容易ではありません。最初の照明計画が大変重要になるのですが、シーリングライトひとつで部屋全体の明かりをまかなっていた感覚のままダウンライトを導入しようとすると、光量を確保するために多数のダウンライトを設置する事になってしまいます。しかし、ダウンライトの数が多すぎると天井を見上げた時に眩しく感じたり、天井に穴が増えて気密性が低下して暑さ寒さが増してしまうデメリットもあるのです。

ダイニングにkom ペンダントライト L、キッチン奥にダウンライト2個+キッチンカウンター上にペンダントライト2灯の例

複数の照明を組み合わせて、使いやすく豊かな空間に。

ダウンライトだけ、ペンダントライトだけといった照明の選び方ではなく、複数の照明を組み合わせる事で豊かな空間演出が可能となります。たとえばキッチンにはダウンライトを使用して、ダイニングではペンダントライトを使用する。玄関にはペンダントライトを使用して、廊下ではブラケットライトを使用すると言ったように…。

具体的にどの部屋にどんな照明が適しているのでしょうか?以下にて代表的な例をご紹介いたします。

広めの玄関土間にガラスシェード ラウンドバブルを2灯設置、電球は[シャンデリアLED電球E17]

[玄関]小さなペンダントライトやブラケットライト。

玄関は内と外を繋ぐ空間。靴を脱ぎ履きしたり荷物をまとめたりする他、来訪者を迎える場所でもあります。人の出入りが多い空間なので、邪魔にならないサイズのペンダントライトやブラケットライトを設置するのがおすすめです。

 

[明るさの基準値]

1畳(約1.62㎡)につき150〜200ルーメン(20〜25ワット相当)程度が目安。2坪玄関(約3畳/4.8㎡)の場合、800ルーメン(60ワット相当)程度となります。玄関の広さや天井の高さ・窓の有無・屋外から光が入るかといった部分も考慮して、暗く感じた場合には照明を追加したり、1520ルーメン(100ワット相当)程度の電球を使用しても良いかもしれません。

階段の踊り場横の壁面に[ポリッシュライト ブラス]を設置

[廊下・階段] ブラケットライトやペンダントライト。

廊下・階段は部屋へと移動するための通路的空間です。時には荷物を抱えて移動する事もあるため、ぶつからない位置に照明を設置します。壁面や天井面にダウンライトやラケットライトを設置する事が多いですが、吹き抜けスペースがある場合にはペンダントライトを長く吊るすのもおすすめです。(ペンダントライトを長く吊るす場合には天井高に合わせてコード長100cm〜150cmなどのペンダント灯具を選びましょう。)

 

[明るさの基準値]

1畳(約1.62㎡)につき150〜200ルーメン(20〜25ワット相当)程度が目安。ただし長い廊下や階段、外からの光が入らない空間には、もっと明るい電球を組み合わせたり複数個の照明を設置して明るさを確保しましょう。夜中にトイレに行く事を想定して足元灯を別途設置するケースもあります。

[洗面所・お手洗い] ブラケットライトや小さなペンダントライト。

洗面所ではコンパクトなスペース内で身支度を行います。小ぶりな照明を選び、デザイン面でも清潔感があるアイテムをチョイスするのがおすすめです。ブラケットライトやレセップライトが適任ですが、ペンダントライトであれば短いコードの灯具と小さいシェードを組み合わせて使いましょう。鏡がある場合には顔色がよく分かるように明るさや色温度に気を配りましょう。

 

[明るさの基準値]

洗面所の鏡周辺では500〜640ルーメン(40〜60ワット相当)程度が目安。ハッキリと明るくしたい場合にはもっと明るい電球を選んだり、色味自体も昼白色(色温度4600K程度)などの白みがかった物を選んでもよいでしょう。

天井面にダウンライトで全体光を確保しつつ、鏡周辺にブラケットライト等をプラスする組み合わせもおすすめです。

キッチンカウンターの上に[kom ペンダントライト S]を2灯設置、隣接するダイニングとリビングにダウンライトあり

[キッチン] ダウンライトや小さなペンダントライト。

キッチンは家事の中でも手が掛かる料理をするための場所。切ったり焼いたり洗ったりと、次々に作業を行う必要があります。空間を全体的に明るくするダウンライトやスポットライトを中心に、装飾性を付け加えたい場合には小さなペンダントライトをプラスしても良いでしょう。ただしダイニング側で大きなペンダントライトを使用する場合には、キッチンにまで目立つペンダントライトを吊るすと見た目的にトゥーマッチとなる可能性もあります。キッチンorダイニング、どちらにアクセントを付けるか考えて照明選びを行うと良いでしょう。

 

[明るさの基準値]

キッチンにはコンロ・シンク・冷蔵庫など設備が多数あるため、全体の明るさを確保するために天井面にダウンライトやスポットライトを設置するケースがほとんどです。ダイニングやリビングの照明が入ってくるか否かによっても明るさは異なるので、間取り全体を考慮して照明計画を行いましょう。

キッチンカウンターの上にペンダントライトを使用する場合は、ワークトップ周辺が一畳あたり300〜400ルーメン(30〜40ワット相当)以上の明るさになるようにしまう。キッチンカウンターが広い場合にはペンダントライト2灯を設置して、それぞれに30ルーメン(30ワット相当)程度の電球を組み合わせれば、明るさを確保できます。三畳程度のキッチンであれば、合計1200〜1520ルーメン程度あれば十分な光量だと言われています。

また、キッチンも洗面所と同じく電球の色味選びに気を付ける必要があります。料理の色を正しく把握したりスムーズに作業するために、ワークトップやコンロ周辺では昼白色や昼光色(色温度4600K〜7100K)等の白みがかった色味の電球を選んでも良いかもしれません。

直径120cmの丸テーブルの上に[スロイド ウッドシャンデリア 6灯]を設置、電球は[シャンデリアLED電球E17]

[ダイニング] 大きめペンダントライト1個、もしくは小さなペンダントライトを複数個。

ペンダントライトの本領発揮とも言えるのが、夜のダイニングでの明かりです。4人がけ/幅約120〜160cm程度のテーブルであればペンダントライトは直径約30〜50cm程度の物がバランス良く見えるでしょう。6人がけ/160cm以上の大きなテーブルならペンダントライトも直径約50cm以上の大きめサイズの物を選ぶか、小さめの物を複数個吊るすのもおすすめです。

 

[明るさの基準値]

ダイニングも広さや天井高、隣接する空間の照明によって明るさが異なります。空間全体の明るさはダウンライトやスポットライトで確保しつつ、ペンダントライトで食卓まわりに装飾的な明かりをプラスするのが理想的と言えるでしょう。

ペンダントシェードの素材がクリアガラスであったり、電球が露出していて直接見えるデザインの場合には、あまり明るすぎない170〜230ルーメン(15〜25ワット相当)程度の電球を組み合わせるのがおすすめです。乳白ガラスや紙素材シェードなど電球が直接見えない場合には、325〜810ルーメン(30〜60ワット相当)程度の電球がよく使用されています。

ダイニング全体で合計1200〜1520ルーメン程度あれば十分な光量だと言われていますが、場合によっては明るすぎると感じる事もあるので、隣接する部屋との明るさバランスも考慮して決めましょう。

電球の色味については、お料理を美味しそうに見せるために、演色性の高い温白色や電球色(色温度2700〜3500K)がおすすめです。白色度が高すぎる電球は料理が青ざめて見えるので避けた方が良いでしょう。

吹き抜けリビングに[ガラスシェード ラウンド]2灯設置、他にブラケットライトやダウンライトも使用

[リビング] ダウンライトだけでも不足は無いけど…。

リビングはダウンライトやシーリングライトのみですっきりとまとめる家が多いですが、天井照明のみで全体の明るさをカバーしようとすると必要以上に大光量の照明器具となってしまいます。また、上からの光だけだと本を読んだり勉強する際に手元に影ができるので、作業性に欠けるとも言えます。

光は強弱や陰影があることで空間に立体感が生まれるので、ダウンライトやシーリングライトだけでなく、ペンダントライトやブラケットライト、フロアライトなどをプラスして複数の照明で空間をライトアップするのがおすすめです。

 

[明るさの基準値]

1畳(1.62㎡)あたり300〜500ルーメン(30〜50ワット相当)程度が目安。たとえば14畳のリビングなら4200〜7000ルーメン程度が基準となります。ただし天井照明ひとつで数千ルーメン以上になると眩しすぎるため、ダウンライトやブラケットライトを組み合わせたり、ソファ横や家具の上にフロアランプ等をプラスするのもおすすめです。

リビングは長い時間を過ごす場所なので、明るさの基準がその他の部屋よりも高く想定されています。落ち着いた空間がお好きな場合は天井照明からの光を1畳あたり300ルーメン(30ワット相当)程度に抑えても良いでしょう。その場合はフロアライトやウォールライトなどの手元照明も併用します。

天井高が低いか高いか、外からの光が入るか等の条件によっても感じ方が変わるので、家族ともよく話し合って照明計画を行いましょう。

[寝室] 眩しくない、割れない素材の照明。

眠るという一番無防備な時間をすごす寝室では、安全性やリラックス度を第一に考えて照明選びを行います。照明は横になった状態で直接視界に入らない位置に計画し、照明のデザインも電球が露出していないタイプが適任です。

ペンダントライトであればシェードが電球を覆う形状のものや、割れにくい紙などの素材がおすすめです。ブラケットライトのように壁面に設置する照明や、テーブルランプ、フロアライトなどを併用するのもおすすめです。

 

[明るさの基準値]

1畳(1.62㎡)あたり170〜230ルーメン(15〜25ワット相当)が目安。眠る直前に明るい光を浴びると寝つきが悪くなるため、天井照明は控えめにして、手元近くにテーブルランプなどのサブ照明を組み合わせる方法もよく見られます。

さいごに。

お家の照明選びでは、自分や家族のライフスタイルを振り返って一番快適にすごせるシチュエーションを作り上げてみましょう。家の住みやすさにも大きく関わる照明選びを通じて、我が家の居心地を最大限に向上させてみてくださいね。

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