フィンランド語で「はい」「yes」といった意味を表す「Joo(ヨー)」という言葉。英語の「Yo!」と同じように、声がけやあいづちなど、様々な場面で使われます。このJooというフレーズは、デザイナーの柴山修平さんが北欧を訪れた際にフィンランドの街角のあちらこちらで交わされているのを聞き、その軽やかな肯定感に強く惹かれた言葉なのだそうです。北欧の澄んだ空気感、スカンジナビアデザインの色合い、それらを象徴するようなJooという響きは柴山さんにとって北欧を象徴するような存在でした。
FEATUREひと手間と、その先。

LIGHTING
軽やかに、挨拶をするように。日常に溶け込むあかり「Joo(ヨー)」
プロダクトデザイナー・柴山修平さんとAXCIS,INC.のコラボレーション照明「Joo(ヨー)」。シーリングライトを再発明したような、アノニマスだけれどデザイン性の高い佇まい。乳白ガラスの優しい光が広がる、シンプルで完成度の高いあかりです。
2025.09.12 by AXCISONLINE
「やあ」「こんにちは!」を意味する言葉、Joo(ヨー)

柴山さん(写真左端)の北欧旅の様子
北欧のあかり文化から影響を受けて。
柴山さんはプロダクトデザイン・空間デザイン・店舗運営という三つの領域を行き来しながら物づくりを行うデザイナーです。以前から照明や空間における「あかり」について関心があった柴山さんは、2024年に国際的なデザイン展示会「3days of design」を視察するため北欧を訪れて、デンマーク・スウェーデン・フィンランドなどを周遊しながら様々な住宅と公共空間を体験されたそうです。
旅の中で感じたのが、「照明に強い明るさは必要ないのかもしれない」というひらめきでした。北欧のあかりのスタイルは、一個の照明で部屋全体を照らすという方法ではなくて、必要な場所の近くにポイント的に照明を設置するというもの。小さな灯りが空間のあちこちにポンポンと置かれて、それらの光が重なって空間に陰影が生まれ奥行きを感じさせる。手元に近い場所に照明があれば、強い光でなくても不便は感じず、むしろ心地よさやずっと浸っていたいような空間の味わいを生むと感じたのだそうです。

Zelt Book store
柴山さんとZeltの活動について
1984年埼玉県生まれ、大学で建築を学んだのちに山形にある家具メーカー「天童木工」に入社した柴山さんは、家具デザイナーとしてキャリアをスタートさせました。東北という独自の文化を持つ土地に暮らし、家具か作りから農業までさまざまな生産の現場に立ち会った柴山さん。家具のみに留まらず、産地ならではの素材や民具から着想を得た物づくりへとステップを進めてゆきました。
2023年にはイラストレーターの伊藤眸さんと共同でZelt Bookstoreをオープンし、「生きるための道具と本」というテーマのもと、展示/書籍/プロダクトの販売等を行なっています。プロダクトをデザインするだけでなく、それが使われる空間までも設計する。さらにその運営にまで関わってみる。異なる領域を軽やかに行き来することで柴山さんのスタイルは作られています。

一番初期の構想スケッチ。同じシェードをペンダントとブラケットで使用するアイデアがすでに描かれています。
アクシスとの出会い
アクシスと柴山さんの出会いは、岡山の木工作家コーチカズノリさんを介してでした。三者ともに素材や形に対して並々ならぬ追求心があり、地方で物づくりを行なってきた作り手でもあるため、互いに通じ合う経験や思いを持っていました。「自分がデザインした空間にしっくりくる照明を作りたい」と考えていた柴山さんは、アクシスとタッグを組んで照明を考案する事になったのです。
「裸電球とペンダントライトの中間のような、暮らしに馴染むあかりが欲しい」
Jooシリーズをデザインする時に柴山さんが意識したのは、北欧の家々で出会った小さな灯りの雰囲気と、日本に昔からある何の変哲もないシーリングライトと裸電球でした。一見真逆に感じられる二つの照明ですが、「さりげなく空間に馴染む」という点が共通しています。北欧の照明はサイズ感が、裸電球はその匿名的なデザインがさりげなさを演出しており、どちらもそれぞれの地域で長い年月愛用されてきました。
「裸電球のように道具としての灯りであり、北欧の照明のように穏やかな色気を持ち、そして空間を豊かに演出してくれる照明器具」。そんな柴山さんの意図が込められたJooのデザインは、わずかな傾斜を持つ乳白ガラスのシェードと、粉体塗装によってざらりとした質感の灯具という組み合わせで完成されました。
「Joo pendant light」
Jooシリーズのデザイン展開は、pendant light / bracket light / stand light の3種類。それぞれホワイトとチャコールグレーの2色展開で、お好みのカラーをお選びいただけます。
「Joo pendant light」は、ダイニングやキッチン、書斎やワークスペースなどにちょうどいいペンダントライト。乳白ガラスが電球の光を和らげて拡散するため、視界に入っても眩しさを感じにくく、柔和なムードのあかりを放ちます。

左:ホワイト、右:グレー
色展開はホワイト/グレー
ペンダントライトのコードと灯具部分については、ホワイト/グレーの2色展開です。ホワイトはニュートラルな存在感で、シンプル/モダン/北欧などのテイストに似合います。グレーは大人っぽさを感じさせるため、アーバン/モダン/シンプル/和などのインテリアに似合います。
シーリングカバーが付属しているため、天井電源部分を隠せて、スッキリとした見た目になります。(※天井電源の形状によってはカバーで隠せない場合があります)

左:60cmタイプ、右:150cmタイプ
住宅向けの60cmコードタイプと、店舗事務所向けの150cmコードタイプをご用意しています
Joo pendant lightはコードの長さ別で60cm / 150cmの2種類をご用意しています。
60cmタイプは主に住宅向けで、ダイニングやキッチン(天井高2.4m前後)にマッチします。
150cmタイプは店舗やホテルなどの商業施設向けで、天井の高い空間にご使用いただくのがおすすめです。他にも吹き抜け・高天井(天井高2.7m以上)や、天井電源とテーブルの位置がずれている場合にもお使いいただけます。
「Joo bracket light」
壁面に設置してウォールライトとして使用する「Joo bracket light」。内玄関の天井や壁面に設置したり、廊下や階段など様々な場所でお使いいただけます。(※バスルームや屋外など水に濡れる場所ではご使用いただけません)
「pendant light」と同サイズのシェードとざらりとした台座の組み合わせが、余計なノイズのないミニマムな佇まいを作り出しています。
色展開は同じくホワイト/グレーの二種類
台座部分については、pendant lightと同じホワイト/グレーの2色展開です。正面から見ると台座部分は見えませんが、横から見た際にはしっかりと色が視認できます。他の家と被らない、シンプルだけどオリジナリティのある照明をお探しならぴったりの一点です。

bracket lightは電気工事士による工事が必要です。
「Joo bracket light」をご使用いただくためには、壁内の電気配線と照明器具を結線する電気工事が必須となります。必ず電気工事士や電気工事店様にご依頼いただき、有資格者による取り付けをお願いいたします。無資格者によるDIYでの工事は火災や事故の危険性があり、大変危険ですので、絶対におやめください。
pendant lightとbracket lightを組み合わせるのもおすすめです
Jooシリーズはサイズ感がコンパクトなので、一部屋の中で複数個を組み合わせて使うのもおすすめです。テーブル周りにpendant lightを吊るし、少し離れた壁面にbracket lightを設置する。統一感が生まれる事でホテルのような整然とした空間に仕上げられます。
新商品「Joo stand light」も発売開始です
Jooシリーズの新作として、2025年秋にはコンパクトなスタンドライトも発売されました。pendant light、bracket lightと同じシェードを使用して、木製のスタンドを組み合わせたデザインに仕上げています。
ベッドサイドテーブルやチェストの上、コーヒーテーブルなどで小さな灯りを楽しむのにぴったりなアイテムです。

さいごに
モダンデザインの気配と、主張しすぎないアノニマスなプロダクトとしての表情、その両方を持ったJoo(ヨー)。私たちの住まいにもきっと違和感なく溶け込み、日常の風景を少しだけ特別なものにしてくれるでしょう。
pendant lightやbracket light、はたまたstand lightまで。ご自宅にマッチする一点をお選びくださいね。
- PROFILE -
■ 柴山 修平(しばやましゅうへい)
天童木工でデザイナーとして活動後、2014年山形のプロダクトレーベル「山の形」を設立。家具・インテリアデザインを中心に活動の幅を広げ、2020年Zelt(ツェルト)を設立し、2023年に生きるための本屋「Zelt Bookstore」をオープン。2020年~桑沢デザイン研究所非常勤講師。
【 Zelt(ツェルト)】
柴山修平と伊藤眸により2020年に設立。書籍と道具の店「Zelt Bookstore」を営みながら、インテリア・家具デザイン、イラストレーションを中心に幅広く活動している。家具メーカーでの経験を生かし、地場産業や地域のものづくりから、ファクトリーストア等発信へ繋げる場づくりを行う。主な作品にKOYO BASE、hibi STORE TOKYO、NISHIGUCHI KUTSUSHITA東京ストア、企画展「石をみる」など。
SHARE