丸型スイッチは、台座部分がまるくてクラシカルな雰囲気のスイッチです。日本で主流のプレートスイッチはアメリカのものに起源がありますが、こちらはフランスなどヨーロッパで普及していたもの。審美的とも言えるデザインは、こだわって作り上げたインテリアの最後の仕上げになります。国産スイッチではどうしても生活感が出てしまう場所が、むしろ積極的に見て欲しいポイントになる。そんな役割を果たすアイテムと言えるでしょう。
FEATUREひと手間と、その先。
SWITCH
うちにも付けられる?おしゃれ度抜群の「丸型スイッチ」
日本製の四角いプレートスイッチとは一線を画す、クラシカルな丸型スイッチ。ヨーロッパでは20世紀初頭から使われてきた丸型スイッチは、現代の効率性重視のものづくりとは違って「ものとしての美しさ」を体現する姿をしています。今回は岡山県総社市の住宅会社BROOKさまにご協力いただき、国内メーカーのスイッチとは工事方法が異なる「丸型スイッチ」についてご紹介いたします。
2021.06.04 by AXCISONLINE
丸型スイッチとは。
住宅にも付けられるの?
そんな丸型スイッチですが、お店はともかく、個人の住宅にも設置する事はできるのでしょうか? 工務店や電気工事店の方からの問い合わせでも「家を建てているお客様が丸型スイッチを持って来られたが、初めて見たので設置方法が分からない」というお声をお聞きする事があります。
結論から言いますと、丸型スイッチは一般の個人の住宅でも設置が可能です。実際にこれまで住宅に丸型スイッチを採用されてきた株式会社BROOKの入部亜佐子さんに、選び方やタイミングについてお話を伺いました。
株式会社BROOKの入部亜佐子さんにお話を伺いました。
岡山県の南部、古くは吉備国が存在した歴史の町・総社市に株式会社BROOKさまは事務所を置かれています。創立メンバーである一級建築士の入部亜佐子さんは、かつて過ごしたイギリスでの生活からインスピレーションを受け「暮らしを楽しむ」住宅を設計されています。前職を含め、入部さんがこれまで手がけた住宅は100軒以上。自然素材を生かしたぬくもりある家づくりがBROOKさまの特長です。
「使っていて嬉しくなるものを身の回りに」
入部さんの家づくりは、天然木・漆喰・珪藻土などの自然素材を使って進められます。
「お手入れや予算とのバランスで新素材と天然素材を使い分けますが、直接肌に触れるフローリングだったり、スイッチだったり、そういったアイテムだけでも良いと思えるもので揃えるのをおすすめしています。」「一見すると汚れやすそうな珪藻土の壁や陶器のスイッチなども、経年変化が味わいになるので長い目で見るといいものですよ。」
「スイッチは電気配線に関係するので、早い段階で検討しましょう。」
スイッチや照明など電気に関係する設備は、家作りの早い段階で取り付け位置や種類を決めます。電気配線は壁の内側を通るため、建物本体に関わってくる部分。電気関連の打ち合わせが始まったら、早い段階でどんなスイッチを使うかを決めてゆきましょう。
「洗面所から寝室まで、いろいろな場所に取り付けられますよ」
入部さんはご自宅でも丸型スイッチを愛用されています。意外なことに、取り付けた場所は娘さんのお部屋。丸型スイッチは洗面所やお手洗い、玄関などに使われる方が多いのですが、あえて子供部屋に使われたのはなぜなのでしょうか。
「たしかに、普通デザイン性のあるスイッチは洗面所などに付ける事がほとんどです。でも、こうやって個人のお部屋や寝室などに丸型スイッチがあって、夜カチッと消してから眠るなんて素敵じゃないですか?使うたびに嬉しい気持ちになれる、そんな場所ならどこだっておすすめですよ」
「使うたびに嬉しくなれる」という意味では、来客の方も使う洗面所やお手洗いに設置するのももちろんピッタリです。センサーや調光といった最新機能はありませんが、だれでも直感的に使えるシンプルさは気持ちの良いもの。初めて家に来られた方でも、一目で使い方が分かります。
実際の工事現場にもお邪魔しました
取材の途中、いま実際に施工中のおうちにお邪魔させていただきました。家本体である躯体は組み上がり、内部のキッチンや階段などを作り上げている真っ最中。天井や壁のあちらこちらに、照明やスイッチに繋ぐグレーの電気配線が見えています。
「ここにスイッチを設置します」
入部さんの案内に従って、玄関へ。玄関ドアの内側すぐに、エントランス照明スイッチのための配線が突き出していました。
「ここは外壁部分なので、内部に断熱材が入っているんです。普通の室内の壁と違って、電気配線を通すために穴を開けたり通したりといった作業は、より慎重になります。」
プレートスイッチと、丸型スイッチの違い
プレートスイッチと丸型スイッチ、具体的にどんな部分に違いがあるのでしょうか。同じトグルタイプのスイッチですが、台座部分が違うと電気工事の方法が変わってくるのです。(※スイッチの取り付け工事は必ず電気工事士の資格者が行ってください。しろうと工事は火事や感電の危険がありますので、絶対におやめください。)
プレートスイッチは、埋め込みボックスを使用して設置します。
プレートスイッチの設置には、埋め込みボックス・埋め込みスイッチボックス等と呼ばれるこんな箱を使用します。壁にスイッチプレートより少し小さめの穴を開け、埋め込みボックスを取り付け、壁内部の電気配線とスイッチを繋ぐ補助的な役割をさせます。工事も簡単で、現在日本の住宅の一般的な電気スイッチはこの方法で設置されるのがほとんどです。
丸型スイッチは、直接結線で設置をします。
丸型スイッチの場合は、基本的には埋め込みボックスを使わず設置します。壁内部の配線とスイッチを直接繋ぐため、壁に横25mm×縦35mm程度の穴を開けて、そこから内部の電気配線を出してスイッチと結線するのです。通常のプレートスイッチよりも手間がかかり、工事士の技術力も必要な工事となります。
アウトレットボックスを使用する場合の取り付け方法
ノベーションなど、すでに既存のスイッチが取り付けてある場合には「ウッデンプレートベース」が活躍します。ウッデンプレートベースは通常のスイッチ用の壁の穴を覆えるサイズなので、プレートを設置した上に丸型スイッチを取り付ける事が可能となります。
また、日本製アウトレットボックスとウッデンプレートベースのビス穴間ピッチが一致するので、内部の設備を生かしてスイッチの交換ができます。
※アウトレットボックスのタイプによっては、ウッデンプレートベースと対応しない可能性もあります。事前にハウスメーカーや工務店の担当者様に相談をして頂き、ご確認の上でご購入をお願いします。
ウッデンプレートベースが使えないスイッチもあります。
ウッデンプレートベースが使えるのは「陶器スイッチホワイト・ブラウン」、「ブラススイッチ ホワイト・ブラウン」、「ウッデンスイッチ アッシュ・メープル」のみとなります。「プッシュスイッチシリーズ」「セラミックトグルスイッチシリーズ」等はウッデンプレートベース対応不可となりますので、この記事の前半でご紹介した直接結線での設置をお願いいたします。
「スイッチやハウスパーツにこだわりたい場合は、住宅会社を決める時点でしっかりと相談しましょう」
丸型スイッチなどのように、他とは違うこだわりの部材をおうちに使われたい場合には、家を建てる会社を決定する前にしっかり確認をしておきましょう。BROOKさまのように丸型スイッチ他こだわりの部材を数多く使われた実績ある住宅会社なら、ノウハウがあるので安心。取り付け場所なども、考えていた以上の提案をしてもらえるかもしれません。
住宅会社によっては変わった部材の設置に不慣れであったり、スイッチ等は既定のラインナップの中から選ばないといけないケースも存在します。「施主支給」という、建主が好きな部材を別途購入して取り付けてもらえるケースも多々ありますので、まずは担当の方に気軽にご相談をしてくださいね。
ここぞ、という場所に特別感を与える丸型スイッチ。
洗面所、玄関、お手洗い、寝室。家の中でも、ここぞという場所に設置したい丸型スイッチ。生活感があって隠したいはずのスイッチが、あえて見せたくなるような魅力あるものに変わります。新築・リノベーションなど家作りを計画中の皆様は、ぜひスイッチにもこだわってみてはいかがでしょうか。
<取材協力>
株式会社BROOK(ブルック)
総社市・倉敷市・岡山市を中心に注文住宅・リノベーションを手がける。「暮らしを楽しむ」をテーマに、デザイン性と快適性を備えたカフェのような住まいを作っています。
〒719-1131
岡山県総社市中央6丁目9-103
フローレスビル1F東
TEL:0866-92-3800
FAX:0866-92-3900
https://www.dhbrook.com/
Instagram:@design_house_brook
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